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花粉症・アレルギー性鼻炎のレーザー治療

2025年度の受付は終了しました。

次回は、2026年は5月から開始予定です。

花粉症・アレルギー性鼻炎のレーザー治療について

「飲み薬を飲んでも鼻づまりが治らない」 「点鼻薬が手放せず、仕事や勉強に集中できない」 「妊娠中や授乳中で、アレルギーの薬を飲みたくない」

このような慢性的な鼻の症状にお悩みではありませんか?

当院では、アレルギー性鼻炎や花粉症による鼻づまりを改善する「下鼻甲介粘膜焼灼術(レーザー治療)」を行っています。 保険適用で、日帰りで受けていただける治療です。

鼻のレーザー治療とは何か

鼻のレーザー治療とは、主にアレルギー性鼻炎の症状緩和を目的として、鼻腔内の粘膜をレーザーで焼灼(しょうしゃく)する治療法です。

医療用レーザー光を鼻の中に照射し、下鼻甲介粘膜と呼ばれる鼻の粘膜表面を熱で軽く焼きます。これにより、アレルギー反応の舞台となる鼻粘膜に意図的な熱ダメージを与えて変性させることで、以下のような効果が得られます。

粘膜の腫れ(肥厚)を縮小させる

花粉などによって慢性的に腫れていた鼻粘膜が縮むため、鼻腔の通り道が広がり鼻づまりの改善につながります。

粘膜の過敏性を低下させる

粘膜組織が熱変性することで、アレルゲンが付着しても過剰な反応(くしゃみ・鼻水)が起こりにくい鈍感な状態になります。簡単に言えば、鼻の粘膜を「少しヤケドを負わせた薄いかさぶた状態」にしておくことで、本来無害な花粉に過剰反応しにくくするイメージです。

以上の作用によって、鼻のレーザー治療はアレルギー性鼻炎の鼻症状全般(鼻づまり・くしゃみ・鼻水)の軽減に効果があります。特に鼻づまり(鼻閉)への有効性が高いことが特徴で、粘膜を焼くことで鼻腔が広がるためです。

逆に鼻水の多い方では効果がやや限定的とも言われ、どちらかというと鼻づまりの症状が強い方に適した治療とされています。

なおアレルギー体質そのものを治す治療ではないため、花粉症の原因そのものが消えるわけではありません。

あくまで症状を抑える対症療法ですが、薬に頼らず長期間症状を和らげられる点が大きなメリットです。

こんな方におすすめです

  • 年中、鼻が詰まっていて口呼吸になってしまう方

  • 薬の副作用(眠気など)が苦手な方

  • 妊娠中・授乳中、または妊娠希望で薬を控えたい方

  • 花粉症の時期を少しでも楽に過ごしたい方

  • 忙しくて頻繁に通院できない方

鼻のレーザー治療の対象者

  • 12歳以上
  • 鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)のうち、鼻づまりの症状が強い方
  • 慢性鼻炎やアレルギー性鼻炎など、一年中症状のある方
  • 薬の効きが悪い人
  • 花粉飛散シーズン中の症状がひどくて辛い方
  • 妊娠を予定している方や授乳中の方、お薬が飲めない方 など

注意が必要な方

  • 出血傾向のある方、血液をサラサラにする薬を内科で服用している場合はまず主治医に手術を受けることが可能か相談してください。
  • 心臓病、高血圧などの循環器系の病気、緑内障、前立腺肥大、麻酔薬に対するアレルギーは必ず申告してください。
  • 妊娠していても治療は可能ですが、要相談です。

レーザー治療の費用(保険適用)

鼻のレーザー治療は保険適用の治療です。

3割負担の場合

項目 費用の目安(3割負担の場合)
手術費用のみ 約9,000円(両側)

総額の目安

(初診料・検査料・処方箋料など含む)

約10,000円〜15,000円

※医療証をお持ちのお子様(中学生以下など自治体による)は、窓口負担なし(無料)で受けられる場合があります。

治療を受ける時期・タイミング

花粉症対策なら「1月まで」に スギ花粉症対策としてレーザー治療を希望される場合は、花粉が本格的に飛散する前(12月〜1月下旬まで)に治療を終える必要があります。

花粉が飛び始めてから粘膜が腫れた状態で手術を行うと、術後の腫れが強く出てしまい、かえって症状が悪化するリスクがあるためです。

※通年性アレルギー(ダニ・ハウスダストなど)の方は、時期を問わず実施可能です。

治療の流れ(当院でレーザー治療を行う場合)

レーザー治療を即日行うことはできません

火曜日と金曜日の午前にしか行っておりません

1 初診・診察

まず現在の症状や治療歴を伺い、内視鏡などで鼻腔内の状態を診察します。レーザー治療が適切かどうか評価し、手術日の予約をお取りします。 (※必要に応じてアレルギー検査を行う場合があります)

2 手術当日:麻酔(約15〜20分)

予約時間に来院していただき、鼻の中に麻酔のガーゼを入れます。注射は使いません。

3 レーザー照射(約10〜20分)

麻酔が効いたことを確認し、レーザーを照射します。片側5〜10分程度、両側で15分前後で終了します。処置中、焦げたような匂いがしますが痛みはほぼありません。患者さんには楽な姿勢で座っていただき、看護師が声をかけながら進めます。

4 術後の休憩・帰宅

照射が終わったら、ネブライザーを施行し、しばらく院内で安静にします。出血があれば止血綿を入れて数分圧迫します。大半の方は出血もほとんどなく、そのまま歩いて帰宅可能です。

5 術後説明と薬

帰宅前に、術後の注意事項(先述の鼻を強くかまない等)や今後の経過について説明します。必要に応じて抗生剤や点鼻薬を処方します。

6 術後のフォロー

術後1~2週間後に再診をお願いしています。鼻内の傷の治り具合をチェックし、かさぶたが多い場合は除去・清掃します。

その後も鼻の状況をみながら数回通院が必要になることがあります。

使用されるレーザーの種類

鼻粘膜焼灼術には、医療用レーザー機器が用いられます。日本では一般的にCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)が多く使用されています。CO2レーザーは水分に吸収されやすい10.6µmの波長を持ち、組織表面で熱エネルギーを放出して粘膜を蒸散・凝固させます。

出力は低侵襲に調整されており、粘膜表層のみを選択的に焼くことが可能です。その結果、体内深部にはレーザー光が届かないため安全性が高いとされています。CO2以外にも、半導体レーザー(ダイオードレーザー)やKTPレーザー、アルゴンプラズマなどが使用されることもあります。

いずれも出血が少なく局所麻酔で可能な低侵襲治療であり、機器の特性によって粘膜への浸達度や焼灼範囲が多少異なります。

当院ではCO2レーザーを使用しています。

レーザー治療の効果とエビデンス

症状緩和の有効率

鼻レーザー治療後の症状改善率はおおむね70~80%と報告されています。実際、1か月後から2年後までの経過を見た場合に7~8割以上の患者さんで何らかの症状改善がみられるとされます。

特に鼻づまりに関しては「改善した」と感じる患者が約90%にのぼったとのデータもあり、鼻閉解消効果は高いです一方、くしゃみ発作や鼻水の改善実感は約60%程度と報告されており、個人差はありますが全般的に鼻づまりへの効果が顕著と言えるでしょう。

このような有効率の高さから、レーザー治療は保存的治療で症状が十分抑えられない中~重症のアレルギー性鼻炎患者に対する有力な選択肢となっています。

実際、日本のアレルギー性鼻炎治療ガイドラインでも、手術療法(レーザー焼灼術など)は重症例で薬物治療に抵抗性の場合や鼻の構造上の問題がある場合に推奨されると位置付けられています。

効果の持続期間と再治療

レーザー治療の効果は永続的ではありません。焼灼された粘膜も時間とともに再生してくるため、多くの場合約1~2年程度で徐々に元の状態に戻ってきます

効果の持続には個人差が大きく、1回の治療で数ヶ月しかもたない方もいれば、2~3年症状が安定する方もいるというのが実情です。一般には平均して約1シーズン~1年間は症状軽快が続くケースが多いです。

効果が薄れてきた場合、再度レーザー治療を受けることも可能です。粘膜に瘢痕(傷あと)が蓄積しない範囲であれば繰り返し治療しても問題ないとされています。

むしろ定期的に(例えば毎年)レーザーを受けているうちに症状が軽減し、年間を通じて薬が不要になったという報告もあります。したがって、鼻レーザー治療は必要に応じて継続的に活用できる対策と言えます。

科学的根拠(エビデンス)

鼻レーザー治療の有効性は、国内外の研究でも検証されています。例えば2023年に発表されたアレルギー性鼻炎患者1411名を対象とした下鼻甲介手術(レーザー焼灼術等)のメタアナリシス研究では、手術群で鼻づまりなどの症状スコアが長期にわたり有意に改善し、合併症の発生率も低いことが示されました。(JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2023 Jan 1;149(1):15-23.)

この結果は、薬物療法で十分な効果が得られないケースにおいて手術的介入が有用であり、安全性も高いことを裏付けています。

レーザー治療の安全性と副作用

「レーザーで鼻を焼く」と聞くと痛そう・危なそうという印象を持たれるかもしれません。しかし実際には安全性が高く、患者さんへの負担も少ない治療です。その理由や留意点を説明します。

痛みや出血について

痛みはほとんど心配ありません。レーザー照射の前に十分な局所麻酔を施すため、処置中は痛みを感じにくくなります。

当院を含め多くの施設では、まず麻酔薬を浸したガーゼを鼻腔内に15分程度挿入して粘膜を麻酔します。(ガーゼ挿入時に鼻腔が狭い方は痛みを感じることもあります)

レーザー照射自体も片側5~10分程度で終了し、出血もごくわずか(もしくは全く気にならない程度)です。実際、処置後すぐにお仕事や学校に行かれても差し支えないほど、体への負担は軽微です。

合併症やリスク

重大な合併症は極めてまれです。レーザーは粘膜表面で吸収され深部には達しないため脳や目への影響もありません。鼻中隔(鼻の仕切り)に近接して強く当てすぎない限り、穴が開くような事故も通常ありません。

ごく稀なリスクとしては、処置部位の感染(副鼻腔炎など)や瘢痕形成による粘膜癒着がありますが、適切な術後ケアでほとんど防げます。

例えば術後1週間後に受診していただき、鼻腔内のかさぶた除去や消毒を行うことで合併症予防に努めます。

総じて、鼻レーザー治療は低侵襲かつ安全性の高い治療です。上述のメタアナリシス研究でも手術群の合併症率は低かったとの報告があり、世界的にも安全と評価されています。

術後の一時的な症状変化

レーザー治療後、一時的に鼻の症状が悪化することがあります。具体的には、術後数日~1週間程度は鼻粘膜が熱の刺激で腫れるため、かえって鼻づまりや鼻水が増える場合があります

また、焼灼面からの少量の出血が鼻汁に混じって出てくることもありますが、これは術後早期に見られる正常な反応です。たとえば患者さんの体験談では、「レーザー後1週間くらいは鼻づまりが強くなったが、2週目から呼吸が楽になり、1ヶ月ほどでかさぶたも取れて快適になった」という声もあります。

これらの術後反応は一時的であり、通常1~2週間で落ち着いてきます嗅覚が一時低下するように感じる方もいますが、粘膜の腫れが引けば匂いもわかるようになります。

術後の過ごし方と注意点

安全に回復していただくため、術後の過ごし方にもいくつか注意事項があります。

  • 鼻を強くかまない: 処置当日は特に、鼻をかむと出血しやすいため極力控えてください。鼻汁は軽く拭き取る程度にします。

  • 激しい運動や飲酒を控える: 術後1週間ほどは激しい運動・重労働や飲酒・喫煙は控えてください。体が温まる行為は粘膜の充血を招き、出血や炎症のリスクがあります。

  • 入浴は短めに: 長風呂や熱いお風呂は避け、シャワー程度にします。これも出血予防のためです。

  • 鼻の加湿を心がける: 術後は鼻の中が一時的に乾燥しやすくなります。生理食塩水での鼻うがい(術後数日は控え、その後医師の指示に従って)、加湿器の使用、ワセリンの綿棒塗布などで鼻粘膜を保湿すると快適に過ごせます。

  • 処方された薬を使用: 術後、必要に応じて抗生剤や消炎鎮痛剤、点鼻薬などが処方されます。感染予防や炎症軽減のため、指示通り服用してください。

これらを守れば、基本的に日常生活に大きな制限はありません術後当日から仕事復帰も可能ですし、学生さんであれば翌日から学校に通えます。万一、鼻出血が続く・発熱が出るなど気になる症状があれば、早めにご連絡ください。

レーザー治療はどんな人に向いているか

薬で症状が十分コントロールできない

抗アレルギー薬を内服してもなおくしゃみ・鼻水・鼻づまりが強い中等症~重症例では、レーザーで粘膜を焼くことで症状をグッと抑えられる可能性があります。

薬の副作用が辛い・薬を減らしたい

薬を飲むと眠くなって困る、あるいは持病で他にも沢山薬を飲んでいるのでこれ以上増やしたくない、といった方にレーザー治療は有力な選択肢です。実際にトラックドライバーやパイロットなど、仕事柄薬の副作用を避けたい方がレーザーを希望されるケースも多くあります。

忙しくて通院や毎日の薬が難しい

仕事や育児で忙しく、花粉症シーズン中に頻繁に通院できない方、また毎日決まった時間に薬を飲み続けるのが難しい方にも一度の処置で長期間効果が持続するレーザー治療は向いています。

受験生や大会前のスポーツ選手

大事な試験や競技を控えた時期に花粉症が重なると実力を発揮できません。レーザー治療は受験や大会のシーズンに症状を軽減する目的でも検討されます。ただし受験直前ではなくシーズン前の余裕のある時期に受けておくことが肝要です。

レーザー治療が不向きと考えられるケース

鼻汁過多型・くしゃみ主体の方

前述の通り、レーザーは鼻閉改善に強い反面、鼻水・くしゃみ症状だけが主体の方では満足度が下がる可能性があります。その場合は内服や点鼻、舌下免疫療法を優先したほうがよいでしょう。

重度の鼻中隔湾曲や鼻ポリープ合併

鼻腔の構造的な問題が大きい場合、レーザーのみでは充分な空間確保ができず効果不十分です。例えば鼻中隔の著しい曲がりや大きな鼻茸(ポリープ)がある場合は、まずそれらを手術で治す必要があります。

小さなお子様

低学年以下の小児では、長時間じっとしているのが難しく麻酔操作にも協力を要するため、12歳未満では施行困難な場合もあるというのが現状です。当院ではお子様の場合、年齢や状態を見て安全に行えるかどうか判断いたします。

スギ花粉飛散シーズン真っ最中

症状がピークの時期(例:スギ花粉が大量飛散している2~4月)にレーザーを行っても、粘膜が既に炎症で腫れているため効果が出にくいとされます。できれば花粉症シーズンの2~3か月前(秋〜初冬頃)に受けておくのが理想です。症状の少ないオフシーズンの施術なら、シーズン中を楽に過ごせるでしょう。

記事執筆者

池袋ながとも耳鼻咽喉科
院長 長友孝文
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 専門医    


医院情報


医院名  池袋ながとも耳鼻咽喉科


所在地  〒170-0012 
      豊島区上池袋4-29-9  北池テラス4階


電話番号 03-6903-4187 


診療科目 耳鼻咽喉科 / 小児耳鼻咽喉科 / アレルギー科


 

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