アレルギー検査について
・アレルギーの病気について
・アレルギーの検査について
・治療ついて
・お子様のアレルギーについて
アレルギーの病気について
私たちの体には、外部からウイルスなどの異物が入ってきた際に、抗体を作って異物と戦う「免疫」という機能があります。
アレルギーはこの免疫反応が、特定の物質に対して過剰に起こる反応のことをいいます。
アレルギーが起こる原因は解明されていませんが、生活環境の変化や特定の物質に多くさらされているため、また、遺伝などともいわれています。
アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」と呼び、下記のものが有名です。
- スギやひのきなどの花粉
- 食物や薬物
- ダニ
- ハウスダスト
上記のアレルゲンに、免疫が異常反応をおこし、かゆみや痛み、時には呼吸困難などの発作を引き起こします。
また、アレルギーがもとで起こる代表的な疾患には、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、蕁麻疹などがあげられます。
アレルギーの検査について
治療の前に、アレルゲンの特定をするための検査(血液検査)をおこないます。1つだけでなく、複数のアレルゲンに対して反応がある方も多いため、複数の物質を一度に検査します。当院では、いわゆる採血を行って調べるやり方と、指先から少量の血液で調べるやり方のどちらかが施行可能です。
採血によるアレルギー検査
- 採血で13~16種類のアレルゲンを一度に調べることができます。スギ、ハウスダスト、ダニをはじめ、その他の花粉、カビ、ペットそして代表的な食品についてもアレルギーの原因物質のスクリーニングが可能です。
小児の場合は、抑制ぜずに採血ができるお子様でしたら可能です。
(費用は上記以外に、初診料、お薬代等がかかります)
①20分で結果がわかる採血不要なアレルギー検査(イムノキャップ)
- 約20分で結果がわかるアレルギー検査で、忙しくてなかなか通院ができない方にもおすすめです。指先から少量の血液を採取しますが、採血は不要なので、小さなお子様にも最適です。
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費用
保険適応の検査で、3割自己負担で概ね3000円程度かかります。(他に診察料が加算されます)
結果がいつわかるか
20分程度(即日)
イムノキャップで調べられるアレルゲン(8種類)
①一般的な採血検査
- いわゆる一般的な採血によるアレルギー検査です。後述するイムノキャップやMAST36では測定できる項目が決められていますが、こちらは任意で決めることができます。
- (特別、日常生活で気になるアレルギーがなければ、スギ、ヒノキ、ハウスダスト、ダニ、ネコ、イヌ、カビなどの16項目をセットで測定することが多いです)
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費用
保険適応の検査で、3割自己負担で最初の1種類1170円、1項目増やすごとに+330円。16項目のセットで4000円程度かかります。(他に診察料が加算されます)
結果がいつわかるか
3-5日程度
調べられるアレルゲン
任意で13項目まで(セットは16項目)
③MAST36(採血検査の一種)
- 当院では「MAST36」という採血でアレルギー症状の重要な原因アレルゲン36項目を同時に測定することが可能な検査を取り入れています。 MAST36はアレルギーの原因物質のスクリーニングに有効な検査です。
以下に示すアレルゲンに対する体の反応を一度の採血で調べることができます。アレルギーの症状は出ているが、何に対するアレルギーを持っているのかわからないといった方にも有用です。
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費用
保険適応の検査で、3割自己負担で概ね5000円程度かかります。(他に診察料が加算されます)
結果がいつわかるか
7日程度
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MAST36で調べられるアレルゲン
治療について
原因抗原の回避
最も基本となる治療です。検査で自分のアレルゲンとなる抗原を同定し、それを避けるような生活スタイルを心がけます。
薬物治療
病院に受診したら必ずといっていいほど提案される治療です。
抗ヒスタミン薬が基盤となるお薬です → 抗ヒスタミン薬について
ほかには、鼻のアレルギーに対して鼻噴霧ステロイド薬、ロイコトリエン拮抗薬などが良く使用されます。
重症の方や、即効性を求める方には少量のステロイド入りの内服薬が選択されます。
舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法) スギ・ダニのみ
アレルギーの原因となっているアレルゲンを少量から毎日投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげたり、日常生活に与える影響を改善する効果が期待されます。根本的な観点からアレルギーを治療する唯一の方法とされています。
舌の下に薬剤を投与し、アレルギー反応を起こさないような身体にしていく治療法です。
現在は、スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎に対する治療が可能です。
5歳以上から開始できます。(お薬を5分間舌下においていられるのが条件です)
治療は長期間(3~5年)かかります。70~80%くらいの方に効果があるとされています。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法はスギ花粉の飛散時期中は治療を開始できません。したがって、飛散時期終了後の6月以降が開始時期となります。ダニアレルギーの場合はいつでも構いません。
手術治療 (※当院では施行しておりません)
レーザー治療(鼻の粘膜の一部を焼灼して鼻の通りをよくする手術、鼻汁への効果はそれほど高くありません)、手術治療(下鼻甲介切除術、後鼻神経切断術)などが行われます。
最近は局所麻酔で施行する手術が増えてきました。
耳鼻科医にとっては比較的一般的な手術であり、耳鼻科で手術をしている多くの病院で施行可能な手術ですが、症例数の多い専門の施設がお勧めです。
お子様のアレルギーについて
当院では、お子様の花粉症、アレルギー性鼻炎等の診察が可能です。
アレルギーの症状
小児アレルギーは、下痢、嘔吐、腹痛、せき、呼吸困難、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹(じんましん)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、発熱、頭痛、むくみ、など様々な症状で表れます。
よく見られるアレルギーには、食べ物がアレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となるもの)となる食物アレルギー、ハウスダストなどの吸入性アレルゲンによって発症する気管支喘息などがあります。一方で、成長とともに症状が改善・軽減していくことも多いのが小児アレルギーの特徴です。
小児食物アレルギーで特に赤ちゃん・乳幼児が、アレルギーを起こしやすいのは、卵、牛乳、大豆です。その他にも、カニ、えび、米、そば、ピーナッツ、キーウィ、メロン、マンゴー、ニンニク、セロリなどアレルギーを起こしやすい食べ物はたくさんあります。
また、こどもは気管支や腸管の粘膜などが未熟なため、アレルギー反応を起こしやすい傾向にあります。アレルギーの原因が食べ物以外の環境にあることも考えられます。
アレルギーの原因を特定し、完全に日常生活から除去するのは難しいことです。お子様が何かを口にした際にアレルギー症状が出たため、疑わし食べ物を片っ端から除去するという厳しい食事療法を行う方もいらっしゃいますが、行き過ぎた食事療法は好ましくありません。アレルギーの原因を明確にし、適切な治療を行うことが大切です。