内視鏡検査について
当院では見て納得できる医療をモットーにしていますので、内視鏡検査を積極的に行っています
内視鏡(カメラ)と聞くと、「胃カメラ」を思い浮かべる人も多いはずです。しかし、内視鏡は耳鼻咽喉科でも大いに活用される医療機器なのです。耳・鼻・のどの奥へファイバーを通し、患部の状態を実際に見ることで的確な診断ができます。当院ではオリンパス製の最新型の内視鏡を導入しています。
耳鼻咽喉科での内視鏡は、通常の胃カメラに比べて先端が細く痛みが少ないのが特長です。また、多くの耳鼻咽喉科医は数えきれないほどの内視鏡検査の経験がありますので、目が慣れており検査時間も短く済みます。
耳の中を見る場合は、数秒で終わり、痛みはありません。1歳未満から検査を受けられます。鼻の中、のどの奥の場合は鼻内をスプレーで麻酔しますので、違和感がある程度。1分弱で終了し、小学生くらいから受けられます。
当院で使用する内視鏡
当院では、ORIMPUS 製の直径2.6mmと世界でも細径クラスのファイバースコープを導入しています。内視鏡は軟性でクネクネ曲がるようになっており、鼻から通すことにより、痛みや刺激がほとんど無く、小さな鼻咽喉頭の病変も描出できます。
内視鏡検査を行うメリット
1.より詳細な診断につながる
肉眼では検査しづらい、見えづらい部分もはっきりと画像でうつし、的確な診断ができます。当院の内視鏡にはNBI(Narrow Band Imaging)という粘膜表層の毛細血管と組織をより見やすくする光学的な画像強調テクノロジー機能がついており、モニター上では粘膜上層の毛細血管が茶色に、粘膜下組織内部の血管が青緑色に表示されます。
この技術を用いることによって、がんの作りだす異常な血管の増殖を確認することができるため、早期のがんや前がん病変が発見しやすくなります。大学病院でも全く同じ機種を用いて頭頸部がん患者様の診療を行っていました。
また、NBI機能はがん以外にも、例えば上咽頭炎の診断にも有用であるという報告があり、当院でも上咽頭炎の診断時やEAT(Bスポット治療)後の経時的な変化の指標として用いています。
左側が治療前、右側がEAT10回終了後(初診時にみられた上咽頭粘膜の発赤腫脹が改善した.狭帯域光観察(NBI)では黒褐色の斑点(黒斑)がほぼ消失している)
以下の先生の論文より引用
参考文献:
慢性上咽頭炎に対する上咽頭擦過療法の治療効果 大野芳裕 口腔科 2019:32(1) 33~39 慢性上咽頭炎における帯域制限光内視鏡診断と内視鏡下上咽頭擦過療法 田中亜矢樹 口腔科 2018 : 31(1) 57-67
2.結果を共有できる。経過状況を画像で見られる
耳鼻科ではみみ・はな・のどなどの奥に生じる病気を扱います。肉眼的に見えないからこそ不安を抱えて病院を受診されると思います。これまでは、診察した耳鼻科医が『腫れてますね』『赤くなってますね』と言葉だけの説明をするのみでした。これではどの程度腫れているのか、またどの程度悪いのかが想像つきませんよね。
細い内視鏡の登場によって、患部の撮影を行い、患者さまに所見をお見せしつつ説明することが容易となりました。また記録を残して、時系列の写真を並べられ、治る様子が患者さまにも目に見えて分かるようになりました。
まさに内視鏡検査は耳鼻咽喉科医にとってなくてはならない武器になったのです。
よくある質問
Q:内視鏡が怖いです
A:ご安心下さい。非常に細いカメラですし、鼻やのどを診る際には挿入前に鼻に軽く麻酔液をスプレーをします。それでも不安が強い場合は、内視鏡に痛み止めのジェルをまとわせておきます。あとは施行する医師の実力次第ですが、院長は数えきれないほどの数をこなしていますのでご安心ください。
小学校高学年以上であれば、ほとんど問題なく検査は終了します。 鼻やのどの内視鏡は1分もかからずに終了します。
Q:内視鏡を耳に入れると痛いですか? 子供でもできますか?
A:全く痛くありません。3秒ほどで終了しますので1歳から可能です。麻酔も不要です。
Q:事前に準備すること(絶食など)はありますか? また、受診した当日でも内視鏡検査は可能ですか?
A:事前準備は何もございません。もちろん当日診察中に相談して行うことができます。医師から内視鏡検査をお勧めする場合が多いですが、患者さまからご希望がある場合にも施行しますのでお気軽にお申し付けください。
Q:撮影した写真をすぐ見ることができますか?
A:撮影後、すぐに表示が可能です。医師と一緒に画像を見ながら患部の状況を確認することができます。
Q:内視鏡でどこまで診ることができますか?
A:外耳道、鼓膜、鼻腔、咽頭、喉頭(声帯など)を診ることができます。つまり、鎖骨から上の部分は診ることができます。逆に鎖骨より下にある食道は診ることができないため、胃カメラが必要になります。胃カメラが必要と判断した場合には、専門の内科をご紹介させていただくことも可能です。
副鼻腔炎に関しては、内視鏡と症状で多くの場合は診断可能ですが、副鼻腔の中は覗くことができないため、CTやレントゲンをお勧めすることがあります。
Q:のどの癌(がん)が心配です。
A:ぜひ内視鏡検査を受けてください。当院の内視鏡はNBI機能で早期の病変の発見がしやすく、院長も長い期間を大学病院でのがんの診療に携わってきたので目が慣れています。