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新型コロナ後遺症外来

新型コロナウイルス罹患後症状(後遺症)について

新型コロナウイルスに罹患した後にも、罹患後症状、いわゆる「後遺症」として様々な症状が出現することがあります。
WHO(世界保健機関)では「新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないもの(通常はCOVID-19の発症から3カ月経った時点にもみられる。)」と、後遺症(post COVID-19 condition)について定義しています。
(これはあくまで定義なので、新型コロナウイルス感染後2か月経過していなくても、臨床的に同じような症状がでていればコロナ後遺症として扱って良いと考えます)

厚生労働省でも新型コロナウイルス感染症罹患後症状として特設ページが組まれていますので、以下のリンクからご参照ください。

2021年の日本の国立国際医療研究センターから、コロナ罹患後半年後に4人に1人は何らかの症状があると報告されました。 Miyazato Y | medRxi | 2021

コロナ後遺症の症状

新型コロナ後遺症として、様々な症状が報告されています。

多彩なコロナ後遺症の症状

発熱、疲れやすさや体のだるさ、咳・痰、息苦しさ

味を感じにくい(味覚障害)、においを感じにくい(嗅覚障害)

頭痛、関節の痛み、喉の痛み、筋肉痛

筋力の低下、睡眠障害、ブレインフォグ(思考力低下)

下痢、抜け毛

後遺症はどの患者さんにも発症しうる病態で、感染初期の重症度とは関連性はないとされています。

発症早期には咳嗽や発熱などの急性期症状がありますが、発症から1年後でも認められやすい症状として、記憶障害、集中力の低下、嗅覚低下、ブレインフォグ、抑うつ状態、息切れ、倦怠感などがあります。

新型コロナウイルス感染後、新型コロナウイルスは治癒しているにもかかわらず数週間たっても体調が回復しない、倦怠感、疲労感が続くという症状に悩まされる事例があります。会社、学校に行くことが困難になるほどの症状、家事や育児ができないほどの状態というような、日常生活を満足にすごせないほどの症状に悩まされる方もいるほどです。

なぜコロナ後遺症になるか?

新型コロナ後遺症の病態、メカニズムについては、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの仮説が提唱されています。

2023年に有名な学術雑誌Natureのレビューにて、これまでの知見に基づいて以下の仮説が提示されています。

Nature Reviews Microbiology | Volume21 | March 2023 | 133-146 

上記の中でも、ウイルスの残存自己免疫神経機能不全の説が有力視されています。

  • ウイルスの残存に関しては、海外の剖検で各臓器のPCR検査からウイルスの残存が確認されています。また、抗ウイルス薬やワクチン接種で後遺症が軽減するというデータもありそれを裏付けるものと考えられます。
  • 自己免疫に関しては、かぜをひいて自己免疫疾患を発症するということはコロナに限ったことではありません。コロナに関してはその傾向がより強いのではないかとされているようです。
  • 神経機能不全に関しては、ME/CFSやPOTSに関連するとされ、コロナウイルスは嗅神経を介して、脳内の神経に感染が広がっていくことがサルの実験からわかっています。

これらの仮説は、いずれも論文ベースで提案されていますが、まだ確定的な証拠はありません。今後もさらなる研究が必要でしょう。

耳鼻咽喉科領域の話としては、コロナ後遺症には慢性上咽頭炎が深く関わっているのではないかと考えています。

上咽頭とは、鼻の奥(鼻とのどの間のイメージ)に存在し、従来よりリンパ組織が多く、ウイルスや細菌の感染を起こしやすい部位です。風邪をひくと上咽頭に炎症が起こることが多く、例えばコロナウイルスやインフルエンザウイルスの感染を疑う場合の病院での検査では、鼻の奥に綿棒を入れられた痛い記憶があると思いますが、まさに上咽頭から検体を採取しているのです。

コロナ感染後の場合においても、炎症が起こった上咽頭が自然に正常化されないまま、慢性炎症を起こしてしまうことで、様々な症状を引き起こす原因になると考えています。
上咽頭炎については以下のリンクもご参照ください。

当院でできる検査・治療について

採血
(亜鉛、鉄、甲状腺機能など数種類。内科クリニックのように多くの種類の採血はできません。一般的にはコロナ後遺症の方は採血データには大きな異常が認められないケースが多いです。しかし、亜鉛不足は6割程度の方に存在すると言われています)
ファイバースコープ
(鼻から入れる細いカメラです。後遺症疑いで当院に初診になる方には全例に行っています。この検査なしに上咽頭炎の確定診断をすることは不可能と考えています)
レントゲン、CT
(副鼻腔炎の有無の確認します。自覚症状から上咽頭炎だと思っていたら、実は副鼻腔炎だったということが少なくありません。診察時に必要と判断した場合にのみ行います)

自分がコロナ後遺症とお考えの場合は、できれば最初はコロナ後遺症外来のある病院や内科系クリニックを受診し、一通りの採血や検査を受けていただいたうえで異常がないことを確認した方が良いと考えています。当院は耳鼻咽喉科クリニックですので、総合病院や内科クリニックのような心電図や胸部レントゲン装置は置いてありませんし、できる採血も限られています。呼吸苦や動悸、倦怠感などの症状がある場合はまず内科での検査をお勧めしています。

一方で、後鼻漏、のどの違和感、咳などの症状は、我々の得意領域です。そういった症状のみであれば、最初から当院含めた耳鼻咽喉科を受診していただいてよいと思います。

コロナ後遺症は倦怠感、頭痛、呼吸苦、嗄声などの多彩な症状が出ますので、どこを受診すれば良いのか判断が難しいと思います。
後遺症専門外来を受診した方が良いかどうかわからない場合は、症状を伺い、他の医療機関の外来受診が必要かどうかを判断させていただきます。

コロナ後遺症の治療方法(主にEATについて)

いくつもの病院でコロナ後遺症外来を設けて研究がなされていますが、残念ながら特効薬的なものは存在しません。西洋薬、漢方薬、鍼灸、リハビリなど複合的な治療で改善を目指していくパターンが多いと思います。そんな中で、多くの症状に有効性があると注目されてきているのが上咽頭に対するEAT(Bスポット療法)です。

コロナウイルスに限ったことではありませんが、鼻風邪やのど風邪を引き起こすウイルスは上咽頭や扁桃腺などのリンパ組織が豊富な部位に感染します。インフルエンザや他のカゼウイルスも同じような鼻やのどの症状を引き起こすのに、なぜ新型コロナウイルスばかりがこのように持続的な後遺障害をもたらすのか?それはよくわかっていません。
わかっているのは、後遺症患者の多くに上咽頭炎が存在する、上咽頭炎の持続は様々な症状を呈する、そして有効な内服薬がほとんどない、ということです。

上咽頭に対して直接薬(塩化亜鉛)を塗布するEAT(Bスポット療法)に関しては、コロナ後遺症に対する有効性があるという報告が挙がっており、私も診療の中でそう感じています。

当院では、コロナ後遺症患者さんに対するBスポット療法を行っています。

EAT(Bスポット療法)も決して万能な治療ではありません。EAT(Bスポット療法)でコロナ後遺症が確実に良くなるという保証もありません。
しかし、コロナ後遺症と思われる症状に苦しまれていて、内科で薬を処方されたけれども改善がみられない方には是非試していただきたい治療法と考えています。

※コロナ感染直後(10日以内)の方は、施術によるウイルス飛散で私自身が感染してしまうリスクが高いため、施行できません。

 

最後に、コロナ後遺症に関して、EAT(Bスポット療法)以外の治療法についてもヒラハタクリニックの平畑光一先生が、非常に詳しくまとめていただいておりますので、参考にしていただければと思います。

 

記事執筆者

池袋ながとも耳鼻咽喉科
院長 長友孝文
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 専門医    


医院情報

医院名  池袋ながとも耳鼻咽喉科


所在地  〒170-0012 
      豊島区上池袋4-29-9  北池テラス4階


電話番号 03-6903-4187 


診療科目 耳鼻咽喉科 / 小児耳鼻咽喉科 / アレルギー科


 

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