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鼻水の吸引について

鼻水について

鼻や鼻の奥に続く副鼻腔の粘膜からは、常に鼻みずが分泌されています。鼻は空気を吸い込んだり、においを感知する機能を持っており、これらの機能を果たすために、吸い込む空気の湿度や温度を調節したり、外界からの異物の侵入を防ぐ機能が必要になります。これが鼻水の機能なのです。 
ふだんはあまり鼻みず意識することはありませんが、炎症などにより量が増えたり、うまくのどの奥の方へ運ばれなくなったり、粘りけが強くなったりすると鼻の中にたまり、ひどくなると鼻から流れ出てきたり、反対にのどにたまってからんだりします。
鼻水には主に次の役割があります。

●細菌やウイルス、ほこりなどの有害なものを体内に取り込まないようにする
●外から吸い込んだ空気を適度に加湿する

鼻水は意味もなく出たりしません。鼻水にもしっかり役割があって必要だから出ているのです。しかし、時には上記のような様々な病気で分泌が過剰になってしまい体に不利な条件をもたらしてしまいます。

お子様の鼻水を吸引する意味

以下のような症状や病気の発症を防ぐために鼻水を吸引します。

・鼻が詰まっていると寝苦しいから

・ウイルス性や細菌性の鼻炎を早く治すため

・鼻の奥には耳管という耳とつながる管があり、鼻水のためにそこがふさがると中耳炎になりやすくなるから

・ウイルスや細菌交じりの鼻水がのどに流れ込んで、気管の入口に付着することで、のどのイガイガ、声のかすれ、咳の原因になります。特に寝ている間は重力や反射の低下でのどに落ちやすいので、寝起きに咳が多い場合は寝る前に吸引してあげた方がよいです。

鼻吸い器と使い方

吸引器の種類

       

吸引器は、手動、電動、ハンディタイプ、据え置きタイプなど様々な商品があります。

アマゾンなどで検索すると上記のような電動吸引機がみつかります。価格は1万円くらいです。

私はその中の一つを自分の子供用に購入し、自宅で愛用しておりました。上記のような据え置き型のものは耳鼻科医の私からしても十分な吸引力があり、先端は我々も使用するオリーブ型になっているため鼻の粘膜を損傷しづらくなっています。

最初は子供は嫌がりますが、繰り返し行った結果、最終的には自ら鼻にあてて鼻水を吸引するようになりました。(鼻がすっきりする気持ちよさがわかったようです)

あくまで自験例ですので自分でやるようになるかは別として、機能としてはシンプルかつ十分であり、鼻水が多く副鼻腔炎や中耳炎を繰り返す患者様にはお勧めしております。

ハンディタイプのものは、吸引力の弱さが気になるため、しっかりやりたい場合は電動据え置き型をお勧めしています。

吸い方

お子様の鼻は柔らかいため、吸引器をあてると鼻翼(鼻の穴の部分)が吸い込まれてしまい、うまく鼻内の鼻水を吸引することができないと思います。

片手で頬の部分を外側に引っ張りながら当ててあげると吸いやすくなります。

鼻はのどに向けて地面に水平に空間があります。そのため、吸引の先ははじめ地面に平行になるように向けた方が鼻水をよく引ける可能性が高いです。

いつ吸引するかについては、もちろん鼻水が詰まってそうな時であり、特に回数の制限はありません。鼻内が乾燥していると吸引しづらいので、お風呂上りで湿っているときは良いタイミングだと思います。

また、以下のような製品を使用して鼻内が鼻の中をミストで潤し、粘度の高い鼻水をやわらかくしてから吸引するのもよいでしょう。

ベビーミスト

鼻水の吸引前後に気をつけること

出血した場合は少し間をあける

吸引によって出血してくる場合は、鼻の粘膜が傷ついている可能性が高いため、連続して使用するのはやめておきましょう。もともと鼻みずが多い時は、鼻炎が起こっていますので粘膜が傷つきやすい状況です。多少の出血の場合は、様子を見て問題なく、落ち着いたら時間をあけて吸引しても大丈夫です。
もし続くようなら耳鼻科受診をお勧めいたします。

一気に吸引しない、強く押し当てない

ずるずると鼻水が取れ始めると一気に吸い出したくなりついつい強い圧で吸ってしまいがちですが、焦らずゆっくりと少しずつ吸いましょう。

ノズルは鼻の穴に軽くあてるだけでもよく吸い取れるので、強く押し込まないようにしてください。鼻が詰まっているときは、下鼻甲介の腫れによって通常よりも鼻の中は狭くなります。粘膜を吸ってしまわないように気をつけて吸引を行いましょう。一度に全部吸い切ろうと思わずに、何回かにわけて少しずつ吸っていくのもよいと思います。長時間吸引すると鼻粘膜の損傷で出血することもあります。

歯や耳の痛み

吸引中に上の歯や耳が痛いという時があります。耳や副鼻腔が鼻とつながっており、吸引によって陰圧がかかるためです。特に副鼻腔炎や中耳炎を起こしているときは内部の粘膜が腫脹したり感覚が敏感になっているために起こりやすい症状です。
痛みが生じてしまうこと自体には大きな問題はありませんが、この痛みはとても強いものなので、一度この痛みを経験すると、次からは怖がって鼻の吸引をさせてくれなくなることがあります。沢山吸えるからといって、強く、長く吸い過ぎないように注意してください。

耳鼻科での鼻水吸引について

当院では、お子さまでも痛がらずに吸引ができるよう、シリコン製の細長い吸引管(アマツ式吸引管)もご用意しております。(といいましてもお子様からしたら怖いのでほとんどの場合は嫌がります)
この吸引管の特徴は、先が柔らかいシリコン製で出来ており、小さなお子さまでも鼻の内を傷つけることなく、しっかりと鼻水を吸い取ることができます。
また、管が細長い作りなので、鼻の奥まで十分に吸引することができます。

  • オリーブ菅
    先の近くが膨らんでいるため、鼻の奥まで挿入しないタイプの吸引化です。
    鼻の奥に入れないため、主に鼻の粘膜が傷つきやすい子ども(乳幼児~未就学児)の患者さんの吸引に使います。
    先の膨らんでいる部分はガラスで出来ているので、鼻水の色を確認しやすいというメリットがあります
    先端が丸いのである程度の年齢になれば嫌がらずに施行できます。

  • アマツ式吸引管

    先が柔らかいシリコン素材で出来ているため、鼻の粘膜が弱い人やお子さんの鼻の吸引に使用します。オリーブ吸引管や金属製吸引管より先が細長いため、奥の方に残っている鼻水も吸い出せるようになっています。

    透明な部分はシリコンという柔らかい素材で出来ているため、鼻の粘膜を傷つける可能性が低いです。 子ども(乳幼児~未就学児)の患者さんの吸引に使うことが多いです。子どもの患者さんは、もともと鼻の粘膜が柔らかく傷つきやすい上に、吸引を嫌がり暴れると金属製の吸引器では鼻の奥を傷つけてしまうこともあるためです。

    見た目は先端が細いですし、奥まで入れられる違和感からたいていのお子様は嫌がります。
    私としてはせっかく耳鼻科に来たから鼻はしっかり吸った方が良いという考えですが、お子様がトラウマになってしまうこともあると思いますので、鼻水吸引のご意向は遠慮なくお申し付けください。

自宅での鼻水吸引について

自宅で鼻水を吸引する必要があるかどうかに関しては、医師の中でも意見が分かれるところです。お子様を診る機会が多いのは小児科と耳鼻科ですが、小児科の先生は無理に吸わない方が良いというお考えの方が多いように感じます。いっぽうで耳鼻科医は吸引処置を日常行っていて、鼻水が多いことで発症する中耳炎や副鼻腔炎を多く診察しているため、吸引を推奨している先生が多いと思います。

私も自宅での鼻水吸引は推奨派です。もちろん、鼻水が多いもしくは濁っている、苦しくて眠れない、鼻がつまっていて食事がうまくできないなど何らかの症状があって困っているときですので症状が軽い場合は不要だと思います。

自宅ではうまくできないという場合も多いと思いますので、その際は鼻吸いだけでも当院に遠慮なくお越しください。

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